神奈川県横浜市の「元町セントラルクリニック」の院長 井上 健和様に、行政書士柏崎幸一法務事務所を活用した経緯と評価について、お話を伺いました。
「今回の医療法人設立は諦めてください」と、締め切り2週間前に税理士にいわれました
元町セントラルクリニックについて教えてください
横浜高速鉄道みなとみらい線「元町・中華街駅」の開業と同じ2004年に、横浜を代表する商業地のひとつ、元町ショッピングストリートで開業しました。
自費診療だけでなく保険診療にも対応しており、診療科は消化器科、外科、形成外科、美容外科、皮膚科。近年は美容外科も男性患者様が増えてきており、現在の男女比率は、3対7となっています。
個人事業から医療法人に変更されたのはいつですか?
2011年です。今年、2015年で5期目になります。
当初、医療法人化を顧問税理士に依頼していたと聞きました。
はい。当医院の顧問税理士に法人化を勧められたこともあり、その流れで手続きを頼んでいました。順調に手続きが進んでいるものと思っていましたが、ゴール デンウィーク直前になって間に合わないことがわかり、「今回の医療法人は諦めてください」と言われたのです。
「今回は諦めてください」と聞いたとき、どうお感じになりましたか?
困りましたね。顧問税理士の話では、それまで経験したことのある「株式会社の設立とは、手続きが違う」と聞きました。
医療法人の申請は、落とすための申請
柏崎さんに伺います。「株式会社の設立」と「医療法人の設立」には、どのような違いがあるのでしょうか?
前提として、「株式会社の設立」と「医療法人の設立」は、同じ法人設立でもその性格上、大きく違います。
株式会社が増えて困る理由がありません。税収が増えるチャンスでもありますので、役所としては認可したい。
そのため、株式会社の申請は容易です。
役所の手引やひな形等に従い、穴埋め的な感覚で必要事項を書き込めば書類が作成できますし、その書類で申請はとおります。
では、医療法人設立の手続きの特徴は?
株式会社と医療法人は大きく違います。
「落とすための申請」といってもよいかもしれません。
医療法人には「永続的な医療提供を行う」「地域社会への継続的なサービス提供」という社会的使命が含まれていますので、役所としては医療法人を乱立させる つもりはありません。
ですから、申請は厳しい。さらに、役所の手引には、大まかなことしか書かれていません。しかし、指摘される点は細部にまで及びます。
医療法人設立の経験が少ないと、その細かい指摘にうまく対処できません。
仮に手引に従って設立するとしても、株式会社設立のように「パターン化」されていないので、煩雑で時間がかかる。「株式会社設立」ほど依頼の多くない「医療法人設立」に時間はかけられないということもあるのかもしれません。
「医療法人設立のエキスパート」と紹介されたのが、柏崎幸一法務事務所でした
行政書士の柏崎さんに依頼した経緯は?
事の顛末を知人に話したところ、柏崎さんを紹介されました。
「医療法人設立のエキスパート」「医療法人認可率100%」と聞いて、もしかしたら、まだ間に合うかもしれないと、申請の締め切り直前の5月のゴールデンウィーク明けに、はじめてお会いしました。
申請の締め切りというのは、いつのことですか?
医療法人の申請は年に2回、5月と10月にあります。私は10月の申請を目指していましたので、申請の締め切りは5月末中旬。お会いしたのが5月初旬。つまり、申請までのリミットは2週間を切っていました。
柏崎さんにお伺いします。ゴールデンウィーク明けにはじめてお会して、5月中旬の締め切りに間に合わせるというのは、かなり短期間に感じます。柏崎さんとしての勝算はあったのでしょうか?
お会いしたのが締め切りの2週間前。実質4日間でしたが、これまでの経験上、なんとかなると思っていました。しかし、井上先生のケースは、その予測以上に難しい問題があったのです。
過去の実績から編み出した時間短縮ツールを使い、4日間で手続き完了
具体的に、どのような点が難しかったのですか?
医療法人化するにあたり、医院が入居しているテナントのオーナーと結んでいる「賃貸役契約書」を書き換える必要が出てきます。賃借人名義が、個人から法人に変わるためです。
しかし、今回のケースでは、契約書上のオーナー(B)は、物件のオーナー(A)ではありませんでした。「代理」だったのです。
実際の物件のオーナー(A)は某銀行でした。稀なケースですが、これが理由で予想以上に時間を取られてしまいました。
契約書上のオーナー(B)と物件オーナー(A)が違うことで、どのような問題が起こったのですか?
必要書類を揃えるのに時間がかかりました。医療法人設立の手引上、役所は「物件オーナー(A)の承諾・押印が必要」といいます。
しかし、物件オーナー (A)は応じてくれない。口頭での交渉は埒が明かないと判断し、正式な書面をもって依頼をしました。
賃借人である井上先生からも、同様に文書を書いていた だきました。
井上先生に、イチから文書を書いていただいたのですか?
いいえ。井上先生も診察があります。イチから文章を考えて書いていただく時間はありませんし、お手間を取らせてしまいます。そこで穴埋め式の「書面の フォーマット(ひな形)」を使いました。
これは当事務所で過去に扱った案件をもとに、作成した「ひな形」です。穴埋め式ですので、素早く書面や手紙が完成 します。
今回のケースのような緊急性の高い案件には非常に有効で、先生のお手間を煩わすことなく、すぐに投函できました。
穏やかな交渉術、慌てている感じが一切ない
柏崎さんの仕事の進め方は、どのような印象ですか?
ひとつには、とにかく段取りがいいですよね。スケジュールを立ててくれるので、安心していられます。
もうひとつは、とても穏やかに物事を進めるんですね。さり気なく、でもしっかりと交渉を進めている。ものすごい交渉力だと思いますよ。それに実質4日しか ないにも関わらず、慌てた様子が一切ない。少なくとも、私は慌てたところ、焦ったところは見たことがありません。
(柏崎)いいえ、いいえ。実際は焦っていましたよ。
締め切り前日もかなり遅くまで作業していましたし、当日も役所が閉庁するギリギリの5時10分に駆け込んで書類申請をしましたから。
先生からご覧になって、柏崎さんはズバリ「どんなひと」ですか?
ムリは聞いてくれますが、ムリは言ってきませんね(笑)。
設立後も、雇用契約や助成金等についてサポートしてくれます
医療法人設立後も、付随する実務をサポートしたと聞きました。
法人化後の雇用契約の切り替えや組織の再編成でも、なにかと辛い役回りを買って出てくれました。また、助成金関係でも相談に乗ってもらっていますし、最近 では、金融機関との融資交渉に同席してもらい、主に数字面の翻訳や書面の作成をお願いしています。ほんとうにいろいろな場面で助けてもらっています。
柏崎さんにお伺いします。医療法人を設立したあとも実務をサポートするのはどうしてですか?
井上先生もそうですが、医療法人を設立するのは、手段であって目的ではありません。その後の運営が重要なのです。
個人事業から法人へ移行したあとも、様々な実務があります。そこをサポートするのも、当事務所の得意とするところです。
ですから、元町セントラルクリニック様にも、従業員様との雇用契約や組織編成、融資や助成金のお手伝いをしました。
医療法人化すると「医者」というだけでなく、「経営者」としても見られる
現在個人事業で、今後、医療法人化を検討しているドクターにアドバイスをいただけますか
医療法人化することで、法人税や所得税、相続税等の節税効果は言うまでもありません。それでも、個人事業で医療を続けるか、医療法人化するかというのは、それぞれにメリット・デメリットがありますので、どちらが良いとは一概にいえないと思っています。
ただ、経験者としていえることは、医療法人になると自分自身が「2つの顔をもつこと」になります。それは、立場が変われば、意識も変わることにつながっていると思います。
「2つの顔をもつことになる」というのは?
いわゆる、二足のわらじのようなもので、「医者」と「経営者」という2つの顔です。「治療」と「数字」と言い換えることもできるかもしれません。個人事業であれば「医者」としか見られませんが、法人になれば「経営者」としても見られます。
名刺1枚とっても「理事長」という肩書が加わります。それにより肩書による対外的な見られ方も変わると思いますが、自身の立ち振る舞いも変わってくると思います。
今後は、「分院」も視野にいれています
経営面における、今後の展開について教えてください
今後は経営面も発展をしていきたいと考えています。ご縁があって志を分かち合う仲間が見つかれば、いっしょに経営をしていき、分院というかたちでの事業展開も視野に入れています。
最後に、今後、柏崎幸一法務事務所に期待することを教えてください
たった4日間で、医療法人の手続きを終えた「段取りのよさ」には、ほんとうに感心しました。
単に申請件数の量だけでなく、経験の積み重ねが貴重なノウハウとなっているのだと思います。
また、設立後の様々なサポートや日々の経営へのお力添え、感謝しています。引き続き、よろしくお願いします。
法人名 | 医療法人 健和会 (元町セントラルクリニック) |
開業 | 2004年 |
設立 | 2011年 |
科目 | 消化器科、外科、形成外科、美容外科、皮膚科 |
代表 | 理事長 井上 健和 様 |
所在地 | 〒231-0861横浜市中区元町4-168 元町第2ビル5F |
URL | http://www.m-cc.jp/ |